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酒井神社・両社神社のオコボ祭り
(琵琶湖の周辺(65)) 
(平成24年1月8日撮影)


<音声あり>



滋賀県大津市下阪本でにある酒井神社・両社(りょうじゃ)神社では,毎年1月6〜8日に,おこぼ祭りが行われます。

両神社は,道を挟んで両側にある小さな神社ですが,創建は弘仁元年(810年)と古く,おこぼ祭りは「オダイモク」と呼ばれる餅の作り物と江戸時代から伝わる武者人形を飾り,五穀豊穣を願う祭りです。
近江で多数行われている
オコナイの1種とも考えられます。

おこぼ祭りの由来ははっきりしませんが,伝承では,瀬田の唐橋に住む龍神が人身御供を取りにきたのに対し,身代わりとして餅(オダイモク)を供えるようになったということです。

この祭りは1月6日から8日にかけて両神社の氏子の持ち回りによって行われ,6日に餅つき,7日に餅と人形の飾り付け,8日早朝に神社に運ばれます。8日10時頃湯立て神事の後,オダイモクは小さく切られ,各町内の氏子達に配られます。

酒井神社
酒井神社は大山昨命(おおやまくひのみこと)を祀っており,創建は弘仁元年(810年)とされます。

下阪本の梵音堂にある石から酒が湧きだし,それをご神体として祀るようになったそうです。その後,織田信長比叡山焼き討ちにより神社は羅災しましたが再建され,元和6年(1620年)広島藩主の浅井長晟
(あざいながあきら)により現在地に建立されたとのこと。

本殿は滋賀県指定文化財,祭りは大津市の無形民族文化財に指定されています。
         酒井神社

 酒井神社のオダイモク

オダイモクは,直径50cmほどの竹カゴに餅を巻きつけ,和紙を巻いたワラ縄でしばり,上から帽子のような餅(傘餅)を被せたものでしたまた,オダイモクの上に飾られた武者人形は,多くは嵯峨人形の技法で江戸時代に作られたもので,若干傷みが目立つものの,地域の人々が大事に伝承しているようでした。

 両社神社
両社神社祭神は伊邪那岐命(いざなぎのみこと)伊邪那美命(いざなみのみこと)であり,元仁年間(1224〜25年)に,高穴穂神社の祭神を酒井神社の境内に勧請したことに始まるとのこと。

現在の本殿は元和6年(1620年)に酒井神社の本殿と共に,広島藩主浅井長晟により現在地に建立され,同時に 酒井神社 から独立したものです。

本殿は同様に,滋賀県指定文化財になっています。
      両社神社

 両社神社のオダイモク
こちらのオダイモクも,酒井神社のものと同様ですが,こちらは木樽に餅を巻きつけ,上から帽子のように餅を被せたものでした武者人形も数は少ないものの,同様に江戸時代の作と思われ,立派なものでした。

<参考文献>
1 「オコナイ 湖国・祭りのカタチ」:中島・上田・原田著,中島監修,INAX出版発行,2008,6,15 
2 「滋賀の百祭」:大塚虹水著,京都新聞社発行,1990,10,27 
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